皆さんは「インスタレーション」というものをご存知でしょうか。芸術表現スタイルの一種ですが絵画や彫刻などとは異なり、期間や場所が限定された「その場、その時」にしか作品と対峙できない極めて流動的な表現の方法です。
先日、東京藝大・先端芸術に合格した本年度デザイン科卒の樋口明琳さん(平野中卒)は1年以上前から校内各所で「ゲリラ的」インスタレーションを行ってきました。それらの記録写真の一部と自作の文章を20ページのファイルにまとめて大学に提出。それが合格の切り札となりました。
入試直前の2月14日、高校生活最後のインスタレーション。場所は視聴覚ホール。今回は「ゲリラ的」ではなく、きちんと3時間の使用許可を取ってからの実施です。6人の友人が協力し担任が撮影助手を務める形で始まりました。
テーマはDNAの破壊と放射能。6人の友人により螺旋状に積み上げた椅子が6本。それらの中央に樋口さんが手掛けた歪に変形した異様な椅子の柱。暗幕を引いた暗闇の中で床から写真撮影用のライトを浴びせると天井に異様なシルエットが浮かび上がりました。樋口さんの反原発の精神がインスタレーション作品となった瞬間です。
入試はセンター試験とデッサン、ファイル審査を経て最後は藝大教授陣10人あまりを相手にした面接。3月5日午後3時過ぎ、面接試験を終えた樋口さんから電話の第一声は「多分受かると思います。」。今まで創り続けてき多くの作品と自分に自信があったのでしょう。
まだまだやりたい事がたくさんある、との事。風船を使った作品、大量のカメラを使った作品、可能なら火薬を使ってみたい、という「表現」への熱い思い。これから現代アートを本格的に学ぶ樋口さん。これからの活動に期待したいと思います。
(文責:デザイン科3年1組 学級担任 岡元健)
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